『好きっていうのはね、理屈じゃないのよ!相手の側にいたい、相手とずっと話していたいと思えば、それはもう恋に落ちてるの!!

目が合うと恥ずかしくなっちゃって視線を逸らしたり、ちょっと指が触れただけでもドキドキしちゃうんでしょ!?

ならもう完璧よ!あんたは、アイツに恋をしてるの!!』



……私はそっと視線を上げると、リョウ先輩の目を見つめ返した。


瞬間、その瞳に吸い寄せられるような感覚に陥り、慌てて俯く。


心臓は、抱きしめられたその時から激しく自己主張するように脈打っている。



(じゃ、じゃあ私、もしかして……)



まさかと思って考えてみれば、思いつくことはいくつもあった。


そして、自分の気持ちをハッキリと自覚した瞬間――抱きしめられている今の状況が、とてつもなく恥ずかしく感じた。


……でも、同時に幸せでもあって。



(相手に告白されてから自分の気持ちに気付くなんて……私ってば、どれだけマヌケなのよ)



私は心の中で自分に呆れかえりながら、今度こそリョウ先輩の目をしっかりと見つめ返す。


そして。



「先輩、私も……

私も、リョウ先輩が好きですっ」



小さく呟くと、照れ笑いをしながらリョウ先輩の背中へと腕を静かに回したのだった。