「……お前、これって」


「幸運のお守りだそうです!……もしかして、気に入りませんでした?」



明らかに女子ウケを狙った可愛らしいデザインを見て不安になれば、「そんな事はない」と否定された。


……ということは、もしかして喜んでくれたのだろうか。


俯いていた私が恐る恐る顔を上げれば、そこには笑顔を浮かべたリョウ先輩の姿。



「ありがとう。大事に使わせてもらうからな」



屈託のないその笑顔に、私は胸が高鳴るのを感じた。


それと同時に――ふと、違和感に襲われる。



「あの、先輩。失礼だとは思うんですけど……」


「なんだ?」


「今日、なんだか気味が悪いくらい素直ですね」


「……今すぐ叩き切られたいか?」


「嫌ですよっ!で、でも、普段は

『プレゼント?ふん、仕方ないから受け取っておいてやるよ』

とか言う人が素直にお礼を言ったんですよ!?驚くに決まってるじゃないですか!」



いつもの先輩なら素直にお礼なんて言わない!と拳を握って熱弁を振るえば、物凄い目で睨まれた。って、怖い怖い!眼力だけで魔獣の一匹くらい軽く殺せそうだよ先輩!!


その迫力に思わず怯えていると、



「まぁ……確かにそうかもしれないが」



自分でも思うところがあったのか、渋々ながらも先輩は納得した。


同時に睨みつけられていた力が弱まり、私はホッと息を吐く。


けれど、油断するのはまだ早かった。