(リョウ先輩って、剣士科1位の上に綺麗な顔してるもんね。確かに、誕生日には告白されまくるくらいの人気者でもおかしくなかった……)



図書室の横にある、図書準備室。


たまたまその前を通り過ぎた私は、中から聞こえてきたその声に顔をしかめながらそんな事を考えた。


それでも、今回はまだプレゼントを渡すだけのようなのでホッとする。



(1回目と4回目の場合は、私がちょうど通る瞬間に告白を始められたもんね)



あれには焦ったなぁ……なんて思いつつ、私はこっそりとその場を通り過ぎる。


しかし、気配を完璧に消して準備室前を通過した私が、そろそろいいだろうと詰めていた息を吐きだしたその時。



「え?……う、うわぁっ!」



廊下の端に放置されていた雑巾に気付かず、思いっきりそれを踏んでしまい――そのまま、盛大に転んでしまった。



「いっ、たぁ……!!」



咄嗟に【物理耐性】を自分へかける暇もないまま、したたかに後頭部を床に打ちつける。


思わず持っていたかばんを放り出し、痛みをこらえて床で丸くなった。


食いしばった歯の隙間から、苦悶のうめき声が漏れる。