(……まぁ、仕掛けは単純なんだけどねー。ただ身体強化魔法を重ねまくっただけだし)



私は目を見開いて驚く先輩に笑いかけながら、先輩の大太刀を押し返す。


予想外の力に押され、リョウ先輩がたたらを踏んだその瞬間



「残念ながら、私の勝ちです――大規模展開・【鳴雷】ッ!!!!」



突き出した左手から黄金の魔方陣が展開し、闇夜を明るく照らし出した。


魔法が直撃した先輩は、呻き声をあげてその場から吹っ飛ばされる。



(仕留めた!)



勝利を確信した私は、地面に横たわる先輩へと近づいた。


そして、『降参』の声を聞かせてもらおうとウキウキしながら顔を覗き込む。


そこでやっと――自分がやりすぎだった事に気がついた。



「せんぱ……い?」



声が止まる。


呼吸が止まる。


倒れこんでいる先輩は……息を、していなかった。