――その気配に気づいたのは、私が一通り基本の型を振り終えた頃だった。



(右斜め方向。人数は……一人かな)



修練場の入り口あたり。


そこから、こちらの様子を窺っている人物がいるようだった。



(学生や先生ならためらいなく入ってくるだろうし……もしかして不審者とか!?)



そう考えた私は、表情を変える事なくカタナを振り下ろすと、そのまま静止っして意識を集中。


そして、軽く魔力を練り上げてカタナの先に【炎弾】を作り上げると、気配のする方へと打ち出した。


直後、爆発。



「うぉっ!?」



魔法を打たれたのが意外だったのか【炎弾】が炸裂した先で驚愕の声が上がった。


その声に聞き覚えがあった私は即座に【炎弾】を消すと、爆風を受けて修練場の中へ飛ばされてきた人影へと近づく。


そして。



「リョウ先輩こんばんは。すみません、不審者かと思ったのでつい魔法を……」


「……あぁ」



私は、憮然とする人影――リョウ先輩へ声をかけると、立とうとする彼に手を貸した。


身体に付いた土ボコリを払う先輩の手には、磨き抜かれた大太刀がしっかりと握られている。