「ね、ねぇアレン君。今あそこでユウリ君とシェイド君をいじり倒してるのって、本物のガンツ先生なの?双子の弟とかじゃなくて?」


「非常に残念ながら本物のガンツ先生だね。あの人、普段は真面目で無愛想なのにお酒にはめっぽう弱いんだよ」



アレン君はそう言うと「厄介だよね」と苦笑しつつ私を立たせた。いや、もはや厄介とかいうレベルを超えてると思うんだけど。



(いっつも仏頂面の先生が、ワイン一杯であそこまで豹変するとは……)



なんていうか、知らなくてもいい事を知ってしまった気がする。


私は物凄い脱力感に襲われながら、アレン君と共にガンツ先生たちからそっと距離をとった。ユウリ君、シェイド君、君たちの尊い犠牲は忘れないよ!


やっとこさ食べ物の乗ったテーブルへ戻ってくると、ヒース君、リョウ先輩、サクヤ先輩の3人が『どの武器が最も普及しているか』について討論しているところだった。


こちらに気付いたサクヤ先輩がにっこりと笑いかけてきたので、私は反抗の意を込めてふぃっと視線を逸らす。ふん、面白がってたくせに!


……視線を逸らした先では、リタがクリュウに口説かれていた。



「ちょ、クリュウさんやめてくださいって……!」


「なに俺様に向かって敬語使ってやがんだ。この前みたいに反抗的な態度とってみろよ?なぁ?」


「いや、この前のは非常事態だったからであって……!」



クリュウに耳元で囁かれ、真っ赤になってぷるぷる震えるリタ。うん、小動物っぽくて可愛いです。



(クリュウいいぞ、もっとやれ!)



私は心の中でクリュウに向かって親指を立てると、アレン君と談笑を始めるのだった。