【リョウSide】



「冒険者ギルドAランク――『閃光吹雪』、参ります!」



決闘開始直後、名乗られたその名前に俺は思わず目を見開いた。


――最初に会った時は、ただの失礼なヤツだとしか思っていなかった。


俺のことを年下扱いしてはいけない事は、この学校の人間ならほとんどの人間が知っている事だ。


それなのにわざわざ喧嘩を売ってくるなんて、余程コイツは馬鹿なのだろう。


そう、思っていた。


……その印象が変わったのは、昼休みのこと。



『リョウ先輩!ちょっと話を聞いてくださいっ』



教室でいつも通り昼食を食べていると、後輩のリタが息を切らせてやってきた。


俺が信頼している唯一の後輩である彼女は、今日の決闘をやめうように進言してきた。


なんでも、俺に喧嘩を売ってきた女は転校してきたばかりの上に今日が初登校であり、

学校の事も俺の事も、何も知らなかったらしい。


彼女にはこれから言い聞かせる、二度とそんな事はさせないから、とリタは何度も言ってきた。


しかし、可愛い後輩の頼みでも頭を縦に振らなかったのは、『転校生』という事実を知らされたからだ。