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議論の後、非常にイイ笑顔を浮かべたクリュウによってリタは私の部屋から連れ去られていった。


私はそれを笑って見送りながら、クリュウに目で『強引なアプローチはしないように』とだけ注意しておく。


リタが涙目で私にSOSを出していたけれど、そちらには気付かないフリをしておいた。


まぁ、クリュウに好かれちゃった時点で諦めてくださいな。



(さーて、クリュウの初恋は実るかなぁ?)



二人がいなくなった後、自分のことをすっかり棚に上げた私はクリュウの恋の行方を予想するのだった。



***



その一週間後。


嫌がらせについて協力して対処することを話し合った多目的室にて、小さなパーティーが開かれた。



「では!『大討伐』での優秀な成績及び、セリナさんの体調回復を祝いまして……乾杯!」


『乾杯!!』



サクヤ先輩の音頭に合わせ、私たち10人はそれぞれ持っていた紙コップを近くの人とぶつけあう。


ちなみに『大討伐』の結果は、1位がリタのチームで2位が私のチームだった。


一緒に魔獣を討伐していたので戦果は2グループともほぼ同じだったのだが、

私のグループであるアレン君の意識が戻っていなかったので、少し評価を下げられたのだ。