……そもそもクリュウは、私の命を助けるために契約してくれていたのだ。
魔力暴走を起こし、その結果――どういった経緯かはまだ詳しく聞いてないけど――汚れていた魔力が浄化された私は、
もうクリュウに魔力を供給してもらわなくても大丈夫。
……という意味だと思っていたら、クリュウは「そうじゃない」と首を振った。
「俺様がセリナと契約できないのは――手に入れたいものができたからだ」
「手に入れたいもの?」
「あぁ。申し訳ないが、『彼女』を手に入れるためにはセリナと契約していない方が都合がいいんだ」
そう言うと、クリュウは「分かるよな?」と言ってニヤリと笑った。
私も伊達に長くクリュウと過ごしていない。その笑顔を見て、一瞬で理解した。
「あー、あー……そういう事か」
「おう」
「うーん、でもあんまり強引なのはダメだよ?常識の範囲内でね?」
私が注意すると、「セリナがそれを言うのか」と呆れられてしまった。失礼な。
その他にもギルドのグループは解散しない事や、今まで私の部屋で寝泊りしていたのをやめるといった話し合いをして、部屋の前で別れた。
(ちょっと淋しいけど……仕方ないよね)
私は大人しくベッドの中へ潜りながら、そんな事を思うのだった。
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