【第五章 転変】



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ゲームでは最大のイベントだった(らしい)とはいえ、所詮はただの魔力暴走。


……というワケで、目が覚めてから30分後。



「失礼しましたー」


「はーい、お大事にねー」



私は、養護教諭の先生に見送られ、保健室を後にした。


本当は、体調も問題ないしそのまま授業に出ようかと思っていたのだが、それはさすがに止められた。


しかも保健室から出た瞬間、どこからともなく現れたクリュウが寮まで付き添うと言い出す始末。



(本当に大丈夫なんだけどなぁ……)



過保護だなぁと思いつつも、勝手に契約を破棄した件もあるので断れない。


結局私とクリュウは、小さい頃にしたように手を繋ぐと歩き出した。



「セリナ。……俺様は、お前とは契約結び直さないでおこうかと考えてる」



先に口を開いたのは、クリュウの方だった。


その言葉を予想していた私は、苦笑して頷いた。頷くしかなかった。