わけが分からず固まっていると、「失礼します!」と言ったリタが髪やら肩やらをベタベタと触ってくる。



「あれ、全然黒くない。っていうか影響出てない!なんで!?」


「……一体何を言ってるんだお前は」


「だ、だって!セリナちゃんの魔力が暴走してるんですよ!?なら契約してるクリュウさんに影響があってもあかしくないハズじゃないですか!」



リタはそう言うと、窓の外の光を指差した。


そこから見えるのは、壊れた《龍玉》から放出しているのだろう魔力の柱。


――急に胸の中が苦しくなって、俺様はリタの手を振り払った。



「あれは……リタの魔力が暴走した光じゃねぇ」


「……え?」


「あれは、俺様との契約を……《龍玉》ごと破棄した光だ」



もう俺様とセリナを繋ぐ物は何もないんだと実感させられて、胸が痛む。


俺様は左胸を右手でわし掴むと、壁に背をつけたままズルズルと座り込んだ。


苛立ちと悲しみが心の中で渦を巻き、視界の端に涙がにじむ。


その時――。



「《龍玉》を壊す……。そうか、そういう事か!!」



突然明るい声で叫んだのは、リタだった。