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【クリュウSide】



本当は、魔力の気配が完全に消えた時に分かっていた。


セリナが《龍玉》を自ら壊して――俺様との契約を破棄した事も。


最後に、俺様の本当の名前を呼んでくれた意味も。


……だけど、理解したからといって納得できるかどうかは別で。


どうしても認めたくなかった俺様は、気付けば光に向かって吠えていた。


――もしかしたら、俺様は思っていた以上にセリナに依存していたのかもしれない。



***



「……く、クリュウ君!いるの!?」



果たして、どれぐらいの時間が経ったのか。


セリナの部屋で立ち尽くしていた俺様は、自分を呼ぶ声に気付いて顔を上げた。



「――なんだ」



答えながらゆっくりと振り向けば、そこにいたのは息を切らせたリタだった。


セリナじゃなかった事を密かに落胆しつつ、俺様はリタへ向きなおる。



「……何の用だ。俺様は今、機嫌が悪いぞ」



そう言って八つ当たり気味に睨みつけると、リタは一瞬ビクリと身体を震わせた。


しかしすぐに背筋を伸ばすと、俺様の目をまっすぐ見つめ返した。


そして――



「あの、どこか身体の調子が悪かったりしませんか!?」


「……は?」



聞かれたのは、なぜか体調の事だった。