『さよなら、クリュウ。……いえ、クリューソス』
そんなセリナの呟きが聞こえたと同時に、魔力の気配が完全に途切れた。
「……は?」
突然の事に、意味がわからず間抜けな声が出てしまう。
……なんなんだ、今のは。
理解できないまま、気を取り直して【探索】を再開しようとしたその時――禍々しい気配を察知して、俺様は顔を上げた。
(この、強すぎる『負』の魔力。……まさか!?)
嫌な予感がして、近くの窓に飛びつき力いっぱい開けた。
魔力を帯びた生温い風が、俺様の頬を撫でていく。
そして。
「……どういうことだ、セリナァァァアアアアアッ!!!!」
西の森を中心に発生している赤い光を見て、俺様は絶叫した。