『このままいれば、いずれお前は死ぬだろう』


『…………』


『正直に言え。死ぬのは、怖いか?』


『……うん』


『生きていたいか?』


『……………ん』



長い沈黙の末、返ってきたのは肯定。


少女がなんと答えようとみすみす死なせるつもりは無かったのだが、肯定の返事がもらえたのは嬉しかった。


俺様は、最後の確認をする。



『この世界には、
お前の知らない汚い物が
まだまだたくさんあるんだ。

それでもお前は、生きたいと願うのか?』


『…………うん』



決して積極的な肯定ではないが、それでも構わない。


俺様はその場に座りなおすと、首を伸ばして顔を少女の方へと近付けた。


少女は、何も言わない。


俺様の顔が近付いてくるのを、ただ見つめているだけ。


俺様はその様子を確認すると、牙だらけの口を大きく開いた。


……少女を救う、ただ一つの方法。


それは、彼女と俺様が契約を交わす事だ。


――互いの魔力を交換する。それが、契約を交わす方法。


ただし、今回俺様が行うのは交換なんて生易しいものではない――彼女の魔力の総入れ替えだ。