【タスケテ!】
【アノコ】
【アブナイ】
【シンジャウ!】
驚いたことに、精霊は自分たちの危機を知らせているのではなく、誰かの危機を知らせるために俺様を呼んでいるらしい。
(これだけ精霊が騒ぐという事は、危機が訪れているのは精霊の加護を受けた人間だという事か?)
精霊の存在が知られていない今、精霊から加護を受けている人間なんてほとんどいないはず。
好奇心を刺激された俺様は、精霊たちの言う通り【アノコ】とやらを助け出す事にした。
しかし、声に従って移動する途中、俺様はとある異変に気がついた。
(『負』の気配が、ドンドン強くなっていく……!?)
そう考えている間に、先ほどまでたくさんいた精霊たちが、徐々に強くなる『負』の力にあてられて消えていく。
ついに最後の精霊まで消えたとき、俺様は濃密な『負』の力が渦巻く場所へ来ていた。
『くっそ、なんなんだよこの禍々しさは!』
俺様は小さく毒づきながら、『負』の力の中心へと突き進む。
そして、見えてきたのは――1つの廃村だった。