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踏みしめた土が、足の裏でザリッと音を立てた。


それを無感動に聞き流しながら、私はひたすら前へ――魔の森の中へと進んでいく。


私の姿を見つけた魔獣が時々襲いかかってくるけれど、それらは全て私の魔法で仕留めていった。


――目指すのは、魔の森の中心。


誰にも迷惑をかけないですみそうな、静かな場所。



「……はぁ」



私はため息をつきながら、先程リタから教えてもらった話を思い出していた。


――正直に言って、リタの話は衝撃が大きかった。


アレン君の話の時は、本人が詳しく覚えていなかった事もあって(前世の妹がしつこく勧めてきたゲームだったらしい)まだ内容に関しては半信半疑という感じだった。


けれど、リタの話の内容は……かなり詳しく、さらに説得力のあるものだった。



(という事は、近いうちにクリュウが……)



嫌な予感が頭の中を巡り、気分が悪くなる。


私はそれを振り払うように首を振ると、いつの間にか止まっていた足を再び動かし始めた。


無心で足をうごかしているうちに、私はふとリタの話と現実で食い違っていた点があった事を思い出す。


それは、私にとって禁忌の記憶。


私が人間を憎むようになった、その顛末が関係していた。



***