――さて、ここで考えてみよう。
この世界は、『LOVERES HOLIC』と酷似した世界である。実際、自分の容姿はゲームの説明書でチラリと出てきた物とほぼ変わりないし、シェイドだって生きていた。
ということは――『乙女ゲーム三大悲劇』とまで言われたこの状況がほぼ確実に起こる事になる。主人公が暴走するのはストーリー上決定なのだから、防ぎようがない。
自分が将来仲良くなる(かもしれない)人間が、死ぬかもしれない――しかもそれは、大好きな乙女ゲームの登場人物。
私はそれを考えて、ブルリと震えた。
(そんなの、絶対に嫌だ!)
そしてその日、病み上がりだからとふかふかのベッドに寝かせられた私は、一生懸命考えた。
どのルートが、一番死ぬ可能性が少ないか。自分はそれに対し、何をできるのか。
そうして思いついたのが――『自分が逆ハーレムを作っておき、それに主人公を巻き込む』という、とてもサポートキャラらしからぬ大胆な作戦だった。
とりあえず、主人公であるセリナが死ぬ可能性が一番低いのら逆ハーレムエンドだ。あれなら、ノベルゲーム状態ではあったけど生存が確定していたから。
クリュウも助けたいけれど――ゲームではほぼ死亡が確定していたため、何をすれば助かるかわからない。なので、今回はセリナの命を優先させる事にした。
そして、私は行動を開始する。
逆ハーレム状態になっても見劣りしないように、自分の仕種や身だしなみに気をつけた。
可愛くなれるように努力して、魔法の勉強も頑張って。
無事、私が逆ハーレムを成立させてからしばらく経った頃――『彼女』は転校してきた。
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