「…………リタ」



ゴブリンの耳をすべて袋に詰め終わった私は、冒険者ギルドへ向かいながら小さく呟いた。


……アレン君は『気を付けて』と言っていたけれど。


少なくとも私には、彼女が訳もなく『逆ハーレム』を狙うような人に見えなかった。


そう、逆に言うなら………彼女には何か考えがあって、わざと『逆ハーレム状態』を作っているような。



「……。んー、わからんっ!」



考え過ぎて頭が沸騰しそうになった私は、そう叫ぶと頭をグシャグシャとかき回した。


そして――すぐに、行動へ入る。



『ごめんクリュウ!急用を思い出したから帰るね!』



私はクリュウに連絡を入れると、冒険者ギルドへと急いだ。


到着してすぐにゴブリンの耳を提出し、クエストを完了させると、即座にガルヴァールの寮の前へとんぼ返り。自分の部屋へ飛び込み、返り血のついた服を処理してシャワーを浴びる。


そうして、身支度を整えてから。



「あれ、セリナちゃん……どうしたの?怖い顔して」


「ん、ちょっと聞きたい事があってさ。今時間ある?……リタ」



私は話を直接聞くため、友達の部屋を訪れたのだった。