(そりゃまぁ、間近で私の全力の魔法を受けたんだもんね。身体を吹っ飛ばされた挙句、そこらへんの木にでも頭をぶつけて気を失ったんでしょう)



私は適当に推測しながら、自由を取り戻した身体で立ち上がり、大きく伸びをした。


『呪い』という名を使われてはいるが、これも魔法の一種。


なので、発動した術者が意識と魔力を保ち続けなければ、効果が消えるのは必然。


しかし。



(じきに皆も目を覚ますだろうし、先にこいつらを縛りあげるとしますかねー)



私がそんな事を考えた瞬間、全身を激しい痛みが襲った。



「…………ッ!?」



貫くようなその痛みに、たまらずその場に倒れこむ。


その拍子に、ずいぶん開放的になったシャツの間から《龍玉》が転がり落ちた。


その色は……とても濃厚な、黒。



(『呪い』を受けた状態のまま全力で魔法を使ったから……?)



視界が、少しずつ闇に閉ざされていく。


その間に私ができたのは、心の中でクリュウを呼ぶ事くらいだった。