……と、その時。



「……誰か、近くまで来たみたいだな」


「みたいですね。ちょっと見てきます!」


「……俺も行こう」


「あ、僕も行きます!」



不意に顔を上げたクリュウ、シェイド君、ガンツ先生が森の中へと走って行った。その後を追って、アレン君もバタバタと走り出す。


その場に残った私たち6人は、彼らの走り去った方向を警戒する。



――だから、気付かなかった。



「……っ!」



視界の端で偶然捉えた、自分にしか見えない魔法陣展開の光。


それを見た瞬間、本能的に『これはヤバい』と直感した。



「【魔法耐性】!」



叫ぶように唱え、持っていた符に魔力を通す。


けれど、一歩遅かった。



「ぅくっ……!」



身体にぶつかる、濁った魔力の本流。


黒く輝くそれは、かつて一度だけ見た事のある『呪い』の魔法だった。