私は静かに首を振ると、二人に頭を上げるように言う。
そして。
「そんな事してる暇があったら……寮に早く帰るぞっ!」
「「えぇ!?」」
驚いている二人を置いて、私は猛然と寮の方へ走り始めた。
けれど、向かうのは食堂じゃない。
「リタぁぁぁあああああ!!」
「ひゃぁっ!?ど、どうしたのセリナちゃん!」
私は寮のロビーで勉強していたリタを見つけると、そのまま勢いよく抱きついた。
自分を呼ぶ、戸惑ったような声。けれど、それに反応する余裕もなくて。
「リタ、私も守るから。絶対ぜったい、リタのこと守るから……!」
私は泣きだしそうになりながら、華奢なリタをギュッと抱きしめて誓う。
……そんな私の言葉を聞いて、リタが微かに笑った気がした。