「それにしても、委員長の観察力はいつも凄いよねー。どこかで不具合が出ても、的確に指示して直せるワケだし」


「いやー、そんなに凄くないよ?でもありがとう」


「ちょっとセリナー、僕だって頑張ってるじゃんか!」


「ユウリ君がダメなんて言ってないでしょ?実際、一度注意された事を次から直してるところなんて、凄いなーって思ってる」


「へへっ……そっかぁ!」



他愛ない会話をしながら、寮へと道を急ぐ。


その時、フッとユウリ君の瞳が陰った。



「セリナちゃん……あの、僕、ずっと謝りたい事があるんだけど」


「へ、何?私、なにかユウリ君に謝ってもらう事あったっけ?」



首を傾げながら、私は俯いた桃色の瞳を覗き込む。



「……その、最初に会った時のことなんだけど」



言いにくそうにしているユウリ君の言葉を聞きながら、私は初対面の時の事を思い出した。


えーと、確か……



『リタの側にいられるだけで十分だよっ!』


『そうだよー?せっかくリタが抱きついてくれてるのにさぁ。邪険にするなんてひどーい!』



……あぁ、そういう事か。