「…心華に会ってあげて」
「……!」
いくら俺を恨んでないからって
そこまで言われるとは
思ってもなかった。
俺に会っただけで倒れたのに?
聞いてない訳じゃないだろ……?
「あのこがね、大切な人を思い出せないのが
辛いって泣いた事があるの」
「…っ」
心華………
「それに私達家族の思い出や
あなたとの素敵な思い出
忘れられた方も辛いでしょう?」
「………」
この人は無理矢理
憎しみを忘れた訳じゃない
俺みたいに事故が無かったらとか
そんな子供染みた事を
願わずにちゃんと前を向いて
新しい家族と今を生きてるんだ

