俺に渡されたアルバムを、彼女は愛おしそうに見る。

「こんなに写真残ってたんだねー」

「ああ、俺は写真嫌いだったからな。そういう時くらいしか写らないんだ」

そう言うと、彼女はクスクス笑った。

「でも、どの写真もどこか幸せそうだね」

「そりゃそうだよ」

彼女の隣に立ち、アルバムを覗き込む。

「一緒に写る時は、いつだって幸せだったよ」

「じゃあ」

彼女…千秋は俺を見上げる。

「今も幸せ?」

その視線は、どこか悪戯っ子のようだった。






あの告白の後、千秋は彼氏に別れを告げ、俺を選んでくれた。

大阪には行かず、俺のそばにいてくれた。

もっと早く言ってほしかった、というのは、彼氏に対する罪悪感。

彼氏を傷つけてしまった後悔。

それでも、悪者になる事をいとわず、千秋は俺を選んでくれた。