元気よく走って、家からは結構離れたガラクタ置き場に向かう。

ガラクタといっても、大きな土管が所狭しと放置された、ちょっとした迷路みたいな場所だ。

そのうち撤去されるらしいが、たちまちのところ、この場に置いてあるらしかった。

探検、冒険、秘密。

その手の言葉に無条件で心を躍らせてしまう子供にとって、ここは恰好の遊び場。

まさに誰にもナイショの秘密基地。

…だったのだが。

「あ!」

俺と千秋が秘密基地に着くと、トモが泣いていた。

泣かされていた。

「お前ら、俺達の秘密基地勝手に使うなよなー!」

トモを泣かしたのは、俺よりちょっと年上の小学生三人組。

昨日もここで、ひと悶着あったばかりだ。

…そうなのだ。

無条件で心を躍らせてしまう子供は、何も俺達だけではない。

この近所には、この場所を「誰にもナイショの秘密基地」にしている子供が大勢いたのだ。

「ここは俺達が先に見つけたんだから、お前ら帰れよー!」

年上なだけに体も大きい。

三人組は、むん、と胸を張って威張ったように言った。