―ガチャ。

扉の開く音がして、雫は箸の動きを止め、扉のほうに目を向けた。


「よっ。」

扉の向こうからは教師ではなく、同じクラスの堂島郁哉と稲葉航平が入ってきた。

雫は2人の顔を見ると、安堵の息を吐いて昼食を再開した。

「こんなところで食べてたんだ。」

航平は屋上を見渡しながら近くにある古びた椅子を雫の前まで運んできて座った。

「何で?ここにいるってわかったの??」

雫はご飯を突きながら、購買で買ってきたであろうパンの袋を破っている2人を見て聞いた。

「笹岡からメールが来たんだよ。」

郁哉はパンをかじる前に雫に言った。

「優李が??何て??」

「“お前はきっと1人でご飯を食べるから屋上に行って”って。」

郁哉がそう言うと、隣から航平が「違うだろ。行けって命令されたんだろ?」と訂正した。

「そうそう。命令された。」

郁哉はケラケラ笑いながらコーラの缶を開けた。