『友人狩り』

ゆっくりと生徒たちは自分の班で集まっていった。
雫はポケットの中に入っている携帯を握りしめたままだった。

「なぁ、俺たちどうなるんだ？」

同じ班であり、この班長の今岡哲郎が小さい声で雫と郁哉を見ながら呟いた。

「どうなるかは、このゲームが終わるまでわかんねぇよ。」

郁哉は哲郎にさらっと言った。

「お前、何でそんなに冷静でいられるんだ？」

哲郎は郁哉の態度に声を荒げた。
一気に視線が哲郎に集中した。

「哲郎、落ち着こう…。」

雫は哲郎にできるだけ落ち着いた声で言った。
哲郎は雫の声を聞くと、ムスッとした顔で黙った。

雫はわかっている。
郁哉の手が微妙に震えているのが。
小さい頃から郁哉はそうだった。
自分の感情を表には出さない。
いつも冷静な顔を装っている。

「俺の携帯でいいか？」

郁哉は少し考えた後、雫と哲郎に聞いた。

「ああ。どうせ、持ってたって使えねぇんだろ？」

少し投げありのように哲郎が答えた。
郁哉は哲郎の返事を聞くと、雫に顔を向けた。
雫は郁哉と目が合うと黙って頷いた。