こんな能力(ちから)なんていらなかった




「もしもし?あ、千歳と言いますが、はい、はい……そこを少し行って、そう。そこの路地入って真っ直ぐです。あっ見えました」


 こちらにやってくる人影におーい、と手を振る。


「いつも、ご苦労様です」

「いえいえ、仕事なので」


 やってきたのは警察官だった。二人がかりでその男を引きずっていく。それを見送った後優羽は紫音の方を向いた。


「で、どういうことか説明してもらおうか」

「……何か奢ってくれる?」


 優羽の提案に紫音はガクッと体勢を崩す。


「情報料!奢ってくんなきゃ話さなーい」


 紫音は無言で優羽のことを見ていたがその肩が揺れ出す。
 そして堪えきれないというように吹き出すと豪快に笑った。


「やっぱ、お前最高だわ……」


 笑いすぎて涙目の紫音をジト目で見やる。


「いいよ、なんか奢ってやるよ。何がいい?」

「チーズケーキ!」

「……はぁ」

「言うと思ったって顔やめてよ!」


 もー!と怒った優羽を紫音はただただ笑いながら見る。


「で、どこのケーキがいいんだ?」

「こっち。いい場所あるの」


 爆発現場に戻ってきた優羽は紫音の腕を掴み引っ張る。