こんな能力(ちから)なんていらなかった




「暇だったからさ……自分って実はハブられててそれを苦に自殺した?とか考えると辻褄があうんだよね。
気付いたら京都にいたし。でも京都弁使ってなかったから。引っ越してきたのだけはわかって。
もし京都で事故にあったんならその線は薄かったんだけど、そこら辺教えてもらえなかったから、分からなくて」


 でもね、と区切る。


「でも、なんか紫音は心配してくれてたみたいだから。よかったなって?思ったら泣けてきちゃって……」


 優羽は落ち着いてたのにまた涙声になってしまった。
 それを見た紫音は呆れた笑みを漏らす。


「ばーか」


 ペシンとおでこを叩かれた後、紫音は優羽の体を引き寄せ抱きしめた。


「俺は凄い心配した。少なくとも葵も唯斗も。俺ら三人が力合わせて出来ないことなんて絶対ないのに、お前が見つからなくて……葵なんか事あるごとに泣いてた」


 知らない名前が出てきたけれどしっくり耳に馴染む。


「それも私の友達……?」

「そうそう。葵なんかいつも優羽にべったりだったよ」


 紫音は優しく微笑む。

 そんな顔しないでって言いたくなる。


 誰だってこんなかっこいい人に微笑まれただけでときめく。
 しかも、こんな抱きしめられてる状態だなんて。