「私達は羽がなく下界で暮らすしかない者達を下人と呼んでいるのですよ。侮蔑を込めて、ね」
下界ってどこだよ。
この地球上のことさしてんの?
あんたらガチで天使みたく天界のような空の上に住んでるっていうの?
なんて疑問に思うことは多々あったが、言っていては埒が明かない。
仕方ないので一番疑問に思うことをたずねた。
「……じゃあ、なんであんたらはあんたらの王を下人って呼んでんの?」
男が言う理屈だと、自分達の王を下人なんて呼ぶのはおかしい。
だが、男達は優羽を卑下した目で見ると、鼻で笑った。
「下界で暮らすことそれ自体が私達羽を持つものにとっては穢れなのですよ。貴女は下界出身だ。故に私達は貴女を認めません」
男の言うメダマドコーな自論に優羽は言葉を失った。
だが、その理論こそ彼らにとっては当たり前なことなのだ。
証拠に後ろに控える男達は何も言わない。
「本当はこんな所には一秒だってとどまっていたくはないのですがね……下賤の者を裁くのも我等の務め。少しは我慢するとしましょう」
勝手に来ておきながら随分な物言いだ。
というか言い方がちょいちょい腹立つ。
しかし何も言うことはできない。
ここで挑発するのは得策ではない。


