「まず、向こうの世界は王政でフィリアム様は第二十五代目の王として王位を継承された。だが、フィリアム様は特殊な環境で産まれたから反対する輩が多かった」
「……んと?つまり、フィリアム様は命を狙われてたってこと?」
「そう。angelicってのは大体が……貴族みたいなもので、普通の羽根を持たない人間に対して酷い偏見を持っていた。
それをおかしいと思い、貴族に立ち向かったのがフィリアム様。俺はフィリアム様の側近。こう言ってはなんだけど、自分が一番信頼されてたと思う」
「へぇ……ん?じゃあフィリアム様はよいひと?」
「良い人も何も素晴らしい方だったよ。常に立場の弱い人優先で、自分のことなんか一つも気にしない」
「ふぅん、いい人に仕えてたんだね」
優羽は前を見ながら呟く。
「ああ……あの人に仕えられたことは一生の誇りだよ」
そこまで紫音に言わせるフィリアム様ってどんな人なんだろうか。
というか紫音の想い人ってもしかして。
そのフィリアム様————?
気が付いてしまった衝撃な事実に優羽は口を押さえる。
そうだ。
フィリアム様が紫音の好きな人なら、以前に紫音が言ってたことにも辻褄が合う。


