こんな能力(ちから)なんていらなかった



「……どうしてこんな格好……?」

「顔は見えないんだからいいだろ?」

「そうは言っても……ぅー」


 恥ずかしいと言っても離してくれなさそうなので優羽は諦めて身体から力を抜いた。


「他に知りたいことは?」


 後ろから紫音が聞いてくる。
 優羽がんー。とかんがえた後、


「あーーーー!?!?」


と声を張り上げた。


「うるさ……」

「フィリアムって結局誰!?」


 結局分からず終いのフィリアム様。
 だが、ここまで来たらなんとなく後の展開は読める。



フィリアム様ってのはきっとangelicの総大将——



「フィリアム様は……あちらの世界の王だったお方だ」

「……そうだよね…………って王様っ!?」

「そうだけど?」


 しれっと答えた紫音に優羽はあいた口が塞がらない。


「王様相手に紫音は怒ってんの!?」

「は?」

「え!?」


 顔を見合わせると紫音は一回整理しよう。と優羽の頭を叩いた。