何も言葉に出来ず、下を向いている優羽に紫音は不思議そうな顔をする。
「……ついてきてる?」
「な、なんとか」
紫音はすっと優羽に近付くと、優羽の震える手を握った。そして紫音は優羽の腰を掴んで持ち上げたかと思うと、自分の膝を跨がせるようにして座らせた。
優羽は紫音の不意な行動に固まる。
紫音は優羽の背中に手を回し引き寄せると、緊張をほぐすようによしよしと頭を撫でた。
「俺はあいつらと同じだけど、あいつらとは違うから」
「……」
「だから変なこと思わずに、今までの優羽でいて?」
紫音は何でいつも欲しい言葉をくれるのだろう。
今一番欲しい言葉が、真っ直ぐ心に届く。
「…………うん」
優羽は自らの腕も紫音に巻きつけると、身体を紫音に寄せる。
そして肩に頭を預けて目を閉じる。
落ち着くまでそのまま抱きついていた優羽を、紫音は優しい表情で頭を撫で続けた。
数分後落ち着いて流石に恥ずかしくなった優羽が、真っ赤な顔で紫音から離れようとする。
それを紫音はさせずに、優羽の身体を抱き上げ反転させると自分の膝の間に収まるようにして座らせた。


