こんな能力(ちから)なんていらなかった



「一人で寝れるようになったようだからな。別にいい」


 そう言う流の表情は嬉しそうなのと悲しそうなのが混ぜこぜになった何ともいえないものとなっていた。


「ながれ……」

「ん?なんだ?」


 無愛想な顔に戻った流の顔を見る。
 真っ直ぐ見てくる優羽に流は少しだけたじろぐ。


「鞍馬に帰りたかったら別に帰っていいんだからね」

「……帰らないけど」


 即答した流に優羽はえ?と間抜けな顔になった。


「今はな」

「……今は?」


 優羽は流の顔を見る。


「そうだ。俺の任務は優羽の護衛兼卒業までの保護者代わりだ。どっか行きたかったとしても行けないんだ」


 私のせいで……と呟いた優羽に流は勘違いするなよ?と釘を刺す。


「自分の意思でどうにでもできるんだ。例えば他の奴に任務を代わってもらったりとかな」


 だから、と間を空けた流は優羽の頭に手を置く。


「あんまり思い詰めるな。お前の為にいるんじゃない。俺がいたいからいるんだ。分かったか?」

「……うん」

「優羽のためじゃなく俺のためだ」

「……うん」

「優羽のためじゃない」

「……何回言うの?」

「優羽が疑わなくなるまで」

「あー!もうっ分かったからっ」

「分かればいいんだよ」