こんな能力(ちから)なんていらなかった





 紫音から来たメールを。


「——……ひゃっ、ひゃくきゅう!?」


 ボックスを開いた優羽は驚いて高い声を出す。


「……おまえ、見てなかったのかよ……」


 紫音ははぁーと仰々しくため息をついた。


「ごっ……ごめんなさいっっ!!」

「別にいいよ、もう怒ってないし」


さっきまでは怒ってたってことですよねーーー!?


「次同じことしたらただじゃ置かないからな……?」

「は、はいいいぃぃぃぃぃ!」


 敬礼して肝に銘じます!と叫ぶと、紫音はよろしい。と言って、蕩けるような笑みを浮かべて優羽の頭を撫でた。



 好きな人とは言ってもらえなかった。

 だけれども。
 紫音の心を捉えてる人にはなれないみたいだけれども。


 紫音の心の中に自分がいる。

 それだけで優羽は幸せな気分になれた。



「あ、ちょっと待て」


 大通りに出ようとした優羽を紫音が引き止める。


「なに?……っ!」


 振り向いた優羽は一瞬で顔を赤くする。


「なんで……脱いでんのーーー!?」


 紫音はネクタイを緩め、ワイシャツのボタンを外して、立派な胸板を曝け出していた。