「……悪い」 「ほんとに遅すぎるわよっ!」 たくもうっと奈々は腕に抱えていたペットボトルを流に押し付ける。 「天神様の水!」 「……恩に着る」 「マグロの頬肉でチャラね」 こんな時まで見返り品を要求する奈々に流は苦笑した。 「……気はすんだ?」 「ああ」 流は今までにないほど晴れ晴れとした顔で笑った。