こんな能力(ちから)なんていらなかった




「ほら始まるから、静かにしとけ」

「……」


 むくれた優羽は無言で返事する。
 館内の照明が落とされた為紫音の表情は見えなかったけれど、苦笑してたように感じた。



***



「楽しかったな」

「ねぇ〜!」


 ファミレスで二人は向かい合って座っていた。


 映画は要人警護のアクションものだったのだが、アクションは全て生身の人間が行っており、そのおかげで迫力満載のものとなっていた。


「にしても、あの俳優さんあそこまで動けるなんて思ってなかったなー……初めて知った」

「それは俺も思った」


 映画の感想について楽しく談笑していると頼んでいたメニューが届いた。

 わらび餅善哉と抹茶パフェだ。

 言うまでもなくパフェは紫音が頼んだ。


「相変わらずパフェ好きなんだね……」

「馬鹿にしてんの?」


 挑発的な空気に優羽は首を慌てて横に振った。


「めめめ滅相もありません!!」

「吃りすぎ」


 紫音は笑うとパフェに刺さっていたポッキーを優羽の口の中に突っ込む。