こんな能力(ちから)なんていらなかった




「そっ……そう!知り合いかと思ったんだけど、全然違ったわ!!」

「まぁ、こんなとこいるわけないよな」


 優羽はそっと肩から男の手を外すと立ち上がる。


「どなたかと待ち合わせでもしていたんですか?」

「いや、俺らの友達かと思ったの。全然違ったけど」

「そうですか、それでは」


 その場を離れようとした優羽の腕を男が掴む。


「一人なら俺らと少しだけ遊ぼうよ?」

「一期一会って言うじゃん?」


 上手いこと四字熟語をいれるなんて、と迫ってくる男二人に優羽は困惑を隠せない。


馬鹿っぽい外見のくせに。


 ボソッと毒を吐くと優羽はニコッと笑う。


「いえ、この後用事があるので」

「試写会だろ?俺らも見るからその後だよ」

「ですが、友人もいるので」

「じゃあ、その子も一緒に行けばいいんだよー」


 なんでこの男達はここまで食い下がってくるのか。
 どうすれば諦めてくれるのか、頭がグルグルしてきた時背中が何かにぶつかった。


「お前勝手に動いてんなよ」


 振り向いた優羽の鼻を紫音が摘まむ。


「探すの手間になんだろ。ただでさえこんなに持ってるってのに」

「ほめんなひゃい……」


 紫音は片手でポップコーン二つとドリンク二つ(トレイに乗ってる)を持っていた。