こんな能力(ちから)なんていらなかった



「ほら、泣くのやめ」

「……ムリ」


 なんでか止まらない涙は止め処なく溢れてくる。


「ごめんな?」

「……それは何に対しての謝罪なの?」

「最近と、今のこと」


 分かってんじゃんと優羽は呟く。

 優羽は紫音に促されベッドに腰掛ける。


「なんで最近連絡してくれなかったの……?」

「優羽だって逃げたよな?」


 ウッと言葉に詰まる。
 葵と喫茶店にいた時の話だろう。


「だってあの時は……」

「あの時は?」


 言いたくなかったけれど、言わなくていい?で済むわけがない。


「紫音と葵が付き合ってるのかって思ってたから……」

「俺と葵が?」


 紫音はあははと大声あげて笑う。


「あんたらは何で揃いも揃って笑うのさ……」

「あいつと付き合うとか想像つかないからだよ。多分葵だってそうだろ」

「そう……?」


  何で想像がつかないのだろう。
 自分はアッサリ想像出来てしまうのに……。


「でも、なんで俺らがカップルだと逃げたくなるわけ?」

「え゙……、そ、それは」


 紫音が好きだから、なんて言えるわけない。


「……葵と大事な話の最中だったから、葵連れてかれるのは困るから」

「そうだったの?」


 ふーんと納得したらしい紫音を見て心の中でガッツポーズを決める。


なんとか誤魔化せたっ!


「……そろそろ落ち着いたか?」

「うん」