こんな能力(ちから)なんていらなかった




「……おはよう」

「おはよ」


 紫音は優羽の額にチュッとキスをする。


「な!?」

「黙れ」


 口を押さえられる。


「ていうか五時……?早くない?」


 目覚ましの時刻を見た紫音が困惑した顔で告げる。


「今日は走る日だからね……」


 優羽はムスッとした顔で告げた。

 思い出したのだ。
 紫音がここ最近自分に冷たかったことを。

 それなのに何故こんなところにいるのか。
 その不満がつい悪態となって口から出た。


「何で流じゃないで紫音がいるの?」

「……流がいなかったからじゃない?」


 優羽の悪態に紫音も不機嫌そうな顔をする。

 しまった。と思うものの紫音はさっさと優羽の上からどく。
 そして部屋から出て行こうとする。


「……?」


 すっかり怒られると思っていた優羽は頭上に?を浮かべる。


「どこ行くの?」

「帰るに決まってるだろ?」


 優羽はガバッと起き上がると慌てて紫音の腕を掴む。


「なんで!?」