「お疲れ様でーす」

学部生が自由に使える学生の休憩室にメイが入ると、何人かの先輩と顔と名前の一致しない一年生がメイに返事をする。授業の空き時間や暇をつぶしたり、荷物を置いたり、漫画と冷蔵庫と電子レンジが常備されたこの少し汚くて快適な部屋にはいつも学科の誰かがいた。

荷物を適当に置き、自由に使える冷蔵庫へ買ってきたサンドイッチを入れる。キャップの部分に名前を書いてメイが常備している、2リットルのスポーツ飲料をそのまま飲んだ。明らかに昨日よりも減っている。
犯人はわかっていた。

「アユミ先輩、浩平さんは?」

「タロ?たぶん隣でレポートやってるよ」


先輩に礼を返してメイは浩平のもとへ向かう。

あくまでも、無表情で―――というよりも
「タルいなー」という表情を作る。
メイの得意技だった。