「私達、もう二十代の頃とは身体が違うのよ?今からちゃんと生活習慣直しておかないと」


「...はい」


「今はいいかもしれないけど、あなただって近々東野さんと結婚するんですから。そんなんじゃいずれ愛想尽かされるわよ」


「...はい」


始まってしまったお説教に寝ていられるわけがなく。起き上がり自然と正座をしてしまった。


「それに子供が出来たらどうするの?妊婦には規則正しい生活!そして規則正しい食事が大切なのよ!?」


「はい...。本当にすみません」


なぜか自分が惨めに思えて仕方ない。


「...分かればいいのよ。朝御飯作ったから一緒に食べましょ」


「えっ?」


そういえばさっきからいい香りが...。

テーブルを見ると並べられた自分ではなかなか作らないような豪華な朝食。


思わずテーブルに駆け寄ってしまった。


「凄い。これ全部橘さんが作ってくれたの?」


手作りパンにサラダにコーンスープ。
目玉焼きにカリカリベーコン。それにフルーツヨーグルトまである。


「悪いけど勝手に冷蔵庫やらを見せてもらったわ。そうしたらどれも賞味期限間近だったから使わせてもらったわよ?」


「あはは...」


そういえばいつ圭吾さんが帰ってくるか分からないから、帰ってきた時に色々作ってあげようと日持ちする材料買い込んだんだっけ...。


「それとお弁当も作ったの。光太を連れて散歩に行きたいし、外でランチしましょ」


そう言って見せてくれたのは豪華なお弁当。


消え失せてしまうはずだった材料達を救ってくれたのね。


「ありがとうございます」

橘さんの頭が上がらなくなってしまった。


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「あー。気持ちいい!久し振りに太陽の下を歩いたかも」


「なぁに、その不健康発言は」


「だって平日は仕事だし、休日は寝て家のことやってたら夕方になっちゃうんだもの」


あれから三人で近くの公園に来て橘さんが用意してくれたお弁当を食べた。
朝御飯もそうだったけど、本当に美味しかった。


「橘さんって料理上手だね。びっくりしちゃった」


「料理なんて練習すれば誰だって上手になれるわよ」


光太君は気持ちいいのか、橘さんに抱っこされたままいつの間にか眠っていた。