「……さて、桜子さんはなんで私や翔ちゃんを避けていたのかな?」

「ぶーっ!!」

なんの前触れもなく、普通に確信に迫ってきた菜々子に、思わずさっき口に含んだものを吹き出してしまった。

「ちょっと桜子!!」

「わりい!」

慌てて口元を拭くものの、心臓はやべぇくらいバクバクといっている。
まさかこんないきなり言われるとは、思わなかった。
さすがは菜々子と言うべきか……。

そんなことを考えながらも菜々子を見つめていると、ばっちりと目が合う。
そして昔と変わらない優しい笑顔で、語り掛けるように話し始めた。

「……ちゃんと分かっているよ?桜子が理由もなく、私や翔ちゃんを避けたりしないって。……なにかあったんでしょ?私や翔ちゃんに気遣うほどのことが……」

「菜々子……」

「普通はもしかしたら、話してくれるまで待つのが友達ってものなのかもしれないけど、ごめんね?……私は違うから。ちゃんと話して欲しい。一人で悩んだりしないで欲しい。……桜子になら、どんな酷い言葉言われても、八つ当たりされても構わないって思っているから」

本当……菜々子は昔から何一つとして変わっていねぇな。
いつもそうだった。
放っておいて欲しい時だって、こうやってズカズカ入り込んできたし!
だけどそんな菜々子に、私は何度も救われてきたんだ――。

つい口元が緩む。

「あ~あ……。マジで菜々子さんには敵いませんよ」

「あら、それは誉め言葉?」

「当たり前だろ?他になにがあるっつーの!」