そう伝えると、今野さんの表情はパッと明るくなる。

「本当か！？それはよかった！申し訳ないのだが、一緒に娘への誕生日プレゼントを選んでくれないだろうか？」

「喜んで」

仕方ない。さっさと一緒に選んで早く行こう。
これから食事だと言っていたし、そう時間はかからないだろう。
そう思っていたのに、今野さんとの買い物は思いの外、時間が掛かってしまった。

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「……っくそっ！」

今野さんと別れ、急いで会社へと引き返す。

俺の助言などいらないほど、自分の意見を貫き、最初から俺はいなくてもよかったんじゃないか、と思うほど今野さん好みのプレゼントを買った。
ただきっと、後押しが欲しかったんだろう。これで本当に娘が喜んでくれる、と。
そんな役を偶然会っただけでやらされてしまい、本当ついていない。
しかもいつの間にか雨が降り出していて、強さも増している。

ちょうどタイミングよく櫻田さんから電話があり、五條さんが待っていると。
濡れないところで待っていると聞いたが、進む足はどうしても速くなってしまう。
きっと五條さんは電車で来ているに違いない。
そう思い、車を停めっぱなしの会社の地下駐車場へと急ぐ。

息も切れ切れになりながらも、どうにか会社の地下駐車場に辿り着き、急いで車を走らせ会社を後にした。