だけど不思議と、全てが繋がってしまった。
どうして彼女が、一度退職した会社に戻ってきた理由も……。
きっと東野君と一緒にいるためだろ？

地元にいるよりは、会える確率はぐんと上がる。

彼女はずっと指輪をはめていたし、恋人の存在は確かだと分かっていた。でもきっと俺の方が彼女と一緒にいる時間は長い。それに、彼女に指輪をはめさせておきながら、いつまで経っても結婚しない男になんて、いくらでも勝てるって思っていた。……なのに、うまく騙されていたもんだ。

でも自然と諦めようって気持ちは全くなかった。
むしろ、どうしても手に入れたくなってしまった。部下の中で一番信頼できる彼から、奪ってみたくなった。
それくらい、俺は彼女に夢中だったんだ……。

なのに、現実はうまく進んでくれない。
仕事は文句のつけようがないほど、うまくいっているというのに……。
恋愛は全然ダメだ。

きっと完璧な人間なんて、いないと思う。
だからこの歳になっても俺は、結婚した彼女がいまだに忘れられないんだ……。



「……という感じで、進めさせて頂いてもよろしいでしょうか？」

「……っ！あっ、あぁ。いいよ。任せるよ」

会議中だというのに、つい昔のことを思い出しては悲観的になってしまっていた。
慌てて表情を引き締め、部下の説明に耳を傾ける。