君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~

背後から聞こえてきた声。
そこにはバーの店員らしき人。

「どうぞ、ご案内いたします」

「え!…あっ、はい」

って!!なに返事なんてしちゃってるのよ!

「すっ、すみません!私お客じゃないので!!」

「え…ご予約頂いた大杉様ですよね?」

大杉って…副社長だよね?予約ってどういうこと?

「あれー?もしかして櫻田さん待っててくれたの?」

バーの入り口で困っていると、電話を終えた副社長が戻ってきた。

「待っててくれなくてもよかったのに」

「副社長どういうことですか?予約なんて」

「まー、取り敢えず中に入ってからにしよう。ほら、店員さんも困っているし」

その言葉につい店員さんを見ると、本当にそんな私達を見て困っている様子。

「…分かりました」

とてもじゃないけど言えないわ。ここで帰りますなんて。
諦めて副社長と共に案内されバーの中に入る。

そして案内されたのは、一番の奥の席。最上階のあるバーから見える夜景は綺麗でしばしの間、目を奪われる。

「この辺のホテルではここで見る夜景が一番綺麗なんだ。聞いたとき、櫻田さんに見せたいなって思ってね。どう?気に入った?」

いつもの冗談モードでも、仕事モードでもない副社長に戸惑いを隠せない。

「…夜景、綺麗です」

うまく言えなくてこんな言葉しか出てこなかった。