それってつまり、圭吾さんは私のことを信用していないってこと?
もしかしたら副社長となにか起きるんじゃないかって疑っているってことよね?

なにそれ。…悲しくて泣きそう。

「菜々子…?」

なにも話さない私の顔を覗き込んでくる圭吾さん。

だめだ。言わずにはいられないよ。

「それって副社長が私のことを好きだから、辞めろって言っているんですか?」

「…知っていたのか?」

まさか私が知っているとは思わなかったのか、驚く圭吾さん。

「今日、告白されました。…諦めないからって。好きでいるのは自由だろって」

そう言うと圭吾さんは大きな溜息を漏らす。

「…本当、読めない人だな。…なら分かってくれるよな?俺の言いたいこと。…心配なんだ、菜々子のことが」

「心配…じゃなくて圭吾さんは私のこと、信用してくれていないからじゃないですか?」

「…どういう意味だ?」

圭吾さんの顔色が変わる。だけどここでやめるわけにはいかないよ。
だってなんか悔しいもの。信用されてないってことでしょ?

「そのままの意味です。私、何度も言いましたよね?圭吾さん以外の人なんて好きになれないって。それに仕事とプライベートは別じゃないですか」

「そんなわけないだろ?…俺の気持ちにもなってくれよ。心配で仕事になんない。今日の二人を見て尚更そう思った。菜々子を奪うと言ってきた相手と一緒に仕事なんてさせられるか」