君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~

やっと落ち着いた体温がまた一気に上昇する。

「…っ分かりました!」

そんな自分に気付かれるなんて悔しくてすぐに副社長室を出る。
するとドアの向こう側からは副社長の笑い声が聞こえてきた。

「…そんな断り方、できるわけないじゃない」

ぽつりと漏れた言葉。

とにかく今は仕事を早く終わりにて早く帰らないと。…そしてちゃんと圭吾さんと話すんだ。
そんな思いを胸に急いで仕事に取り掛かった。

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「…圭吾さん、まだかな」

さっきから何度もスマホの画面を覗いてしまっている。

あれから副社長に邪魔されることなくどうにか定時を少し過ぎた頃終わった。

帰ることを伝えに行くとき、どんな顔をして会ったらいいのか悩んでいたっていうのに、副社長はいつもと変わらない態度で「お疲れ様」の一言だけ。
少し拍子抜けしながらも帰宅し、ご飯の準備をして待ってはいるけど、いまだに圭吾さんは帰って来ない。

「…仕方ないか」

初日だし、色々と忙しいよねきっと。

立ち上がりさっき届けられたばかりの圭吾さんの荷物でも整理しておこうと思い、寝室へと向かう。

段ボールのほとんどは仕事の資料と書かれたものばかり。
家具類は処分してきたって言っていたけど、生活用品より資料の方が多いんじゃないかと思う。

勝手に荷物を開けるのも…と思っていたけど資料だったら見られても平気だろうし、なにより初日からこんなに遅いんでは片付ける暇もなさそうだし。
そんなことを思いながら箱を開けて、空いている本棚へと閉まっているとき、リビングに置いたままのスマホが鳴り出した。