君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~

「ですのでお願いですからもうこれ以上邪魔しないで下さい」

これ以上邪魔されないよう釘を刺し、副社長室を後にする。

「なんで俺が櫻田さんの邪魔ばかりしているか知ってる?」

なのに懲りずに副社長は私の後をついてくる始末。
だけどそんな副社長の質問に答えることなく、自分の席に戻り、マウスを動かして仕事を再開させる。
さっきも橘さんにも言われたじゃない。相手にしないのが一番だって。

そう自分に言い聞かせながら、いまだに私の近くから離れそうにない副社長を見ることなく、パソコンの画面だけを見つめ仕事を進める。

「なんで櫻田さんはそんなにつれないのかなぁ?…あっ。もしかしてもう既に橘さんになにか吹き込まれた?おれの正しい扱い方とか」

あら。よく分かっているのね、橘さんに自分がどんな扱いをされていたのか。

「橘さんは氷の女王って言葉がぴったりだったからなー。さすがの俺も橘さんを前にして冗談は言えなかったよ」

一切私はなにも言っていないというのに一方的に話してくる副社長。
でもきっと今ここで答えたりなんかしたら副社長の思う壺よ。

「副社長、冗談は顔だけにして頂きません?」

「…ぶっ!!」

はっ!!しまった!

さっきの副社長の橘さんの口真似があまりにも似ていて思わず吹き出してしまった。