「へー......それで?」
あれからすぐに家へ向かい、今は自室でくつろぎながら会話中。
俺の話を聞く晴人は、若干にニヤニヤしっぱなしでキモイ。
「............胸が熱くなって、苦しくなる。」
「そうかそうかー....とうとう春がきたか♪」
春?お前はバカか。
もう春は終わるぞ。夏になるんだ。
そんなこともわからないのか、このバカは。
「..........七瀬、季節の春じゃないよ?」
「は?」
季節の春じゃないって.........は?
季節以外になんの春があるってんだ。
「七瀬って、意外と鈍いんだねー。実は初恋もまだとか?」
顎に手をあて、何やら悩ましい表情を浮かべる晴人をよそに、小路からもらったパックジュースを飲み干す。
「あのね、七瀬。それは、恋のはじまりの症状なんだよ。」
「恋だ?」
「そう!小路を見るとー、ドキドキしたり、胸が暑くなって苦しくなるんでしょ?」
「.............まあ。」
「じゃ、確実に恋だね。七瀬は、小路が好きなんだよ。」
俺が、小路を..........
「バカじゃねえの?」
んなわけあるか。
「じゃあさ、想像してみなよ。小路が誰かと付き合ってたり、男に触れられてたらどうよ?」
小路が誰かと付き合ってたり.......
触れられてたりしたら..........
―――.......イラッ
「イラッとくる。」
「ほらね。それは嫉妬っていうの。」
いや、嫉妬ぐらいしっとるわ。
「いやー、それにしても七瀬がねー.......」
再びニヤつきはじめる晴人の鳩尾に一発決める。
俺が小路を好き、ねえ......